速く走るにはコツがある

「走り方」は素質ではありません。正しい身体運動を学ぶ機会がないだけで、速く走る「走り方」に代表される運動技術は誰もが習得することができます。ここに一部ですが、速く走るコツをご紹介します。誤った動きを練習していると悪いクセが身についていきます。今までのクセを直すには、正しい動きを反復して練習することが必要となります。

※以下、産経新聞「速く走るコツ 構えや走り方、練習で習得」で掲載された内容です。

運動神経は12歳までの運動経験で決まる!

運動神経の良し悪しは、小学生時期までに多様な運動をいかに多く経験・獲得したのかで決まります。神経系の発達は、12歳頃までにほぼ100%完了します。この時期の成長過程を逃すと、成長してからの動作の改善や習得は非常に難しくなります。速く走るためには、小さいころから「歩・跳・投」といった基本運動に加えて、バランスなどの調整力・敏捷性など様々な運動を正しい動作でたくさん経験させてあげることが重要となります。

どんなときも姿勢に気をつける

全ての運動に共通する一番大切なことは、「身体の軸」です。走っているときの姿勢が悪いと、力をうまく地面に伝えることができず、身体で力を吸収してしまって速く走ることができません。

「身体の軸」を走っているときも維持するためには、普段の生活から姿勢について気をつけることもポイントです。悪い姿勢は身体のさまざまなところに負担がかかり、怪我や病気の原因にもなります。まずは、無意識に正しい姿勢で運動ができるようになることを目指して取り組むことが必要です。

スタートダッシュ

肩幅よりやや広く足を広げ、利き足を前にして立ちます。背中が丸まらないように注意しながら上半身を前に少し倒し、前足の膝を「つま先と膝頭がそろう程度」にまで曲げて体重を前足にかけます。後ろ足は膝を少し曲げ、かかとを上げます。視線は前足のつま先に置き、腕を軽く曲げ、手のひらは力を抜きます。

スタートの合図とともに、前足で力強く地面を蹴って走り出します。体が早く起き過ぎないよう最初の5歩程度はつま先を見ながら走り、その後は徐々に顔を上げていきます。声援や他の子供を気にしてキョロキョロせず、前だけを見て集中して走ることが大事です。

モモを高く上げようとしないこと

速く走るためには、足が地面に接地した瞬間に、いかに地面に大きな力を与えることがポイントです。スピードが上がると必然的にモモは上がってくるので、モモを上げる意識を持ってしまうと、上方向に力が働いてしまい速く走ることができません。モモ上げではなく、膝を「進行方向に向けて運ぶ」ことを心掛けます。足は縄跳びを跳ぶときのように、弾む感覚で地面をとらえ、べた足にならないように注意します。

身体の真下に接地するようにする

走っているときに足が身体の前方で地面に接地してしまうと、進行方向とは逆の力が大きく働き、ブレーキになってしまいます。できるかぎり、足が着く場所を身体の真下にすることがポイントです。

まだまだ速く走るためのコツはたくさんあります。繰り返しますが「走り方」は素質ではありません。ちょっとしたコツを知り、ただしい動作を習得することで、今よりも速く走ることができるのです。年を重ねるにつれてクセを直すことは大変になってきます。正しい身体動作はできるかぎり早いうちに、 専門の指導者にチェックしてもらいながら、反復してクセを修正していくことが大切になってきます。


ほりごめよしひろ
オリンピックや世界選手権など数多くの国際大会で日本代表として活躍。指導者としても、国際陸上競技連盟公認ユースコーチ(IAAF CECS Level 1 Coach)の国際資格を持ち、日本陸連強化委員として日本代表コーチとしても活躍(オリンピック協会認定コーチ)。こどもたちだけでなく、企業や大学で日本代表選手など多くの選手を指導する。